狭帯域FSK変調・復調ユニット

TK-9660 使用説明書
■概要  ◇本ユニットは、1チャンネルのデータを周波数変位に変調すると同時に、
      周波数変位を1チャンネルのデータに復調する、モデムユニットです。


■特長  ◇小型設計(90mm×60mm)です。
     ◇リモートI/Oユニット(TK-9670D)との併用により、入力24点、出力24点の遠隔制御が可能です。
     ◇RS-232Cインターフェースユニット(TK-2670)を接続することが可能です。
     ◇300Hz~2700Hzの信号を多重することが可能です。
      300Hz~2700Hzのバンドパスフィルターを接続することにより、2線で、データと音声の共用が可能です。
     ◇送信キャリア周波数と、受信キャリア周波数を変える(受注開発品)ことにより、
      2線で、全2重通信やチャンネル多重通信を行うことが可能です。
     ◇ワンチップマイクロコントローラの使用により、高い信頼性を実現しています。


■仕様  ◇使用電源電圧範囲・・・・・・・・・・・・・DC5V~DC24V
     ◇標準消費電流・・・・・・・・・・・・・・・待機時44mA 動作時66mA
     ◇通信速度(ボーレート)・・・・・・・・・・300以下
     ◇ロジック信号入出力・・・・・・・・・・・・TTLレベル
     ◇キャリア周波数・・・・・・・・・・・・・・H(マーク):3300Hz L(スペース):3150Hz
     ◇変調出力振幅・・・・・・・・・・・・・・・2VP-P(600Ω負荷時) 3VP-P(無負荷時)
     ◇変調出力レベル・・・・・・・・・・・・・・2VP-P
     ◇復調入力インピーダンス・・・・・・・・・・50KΩ
     ◇復調入力感度・・・・・・・・・・・・・・・200mVP-P以下(1VP-P以上を推奨)
     ◇多重入力インピーダンス・・・・・・・・・・10KΩ
     ◇多重利得・・・・・・・・・・・・・・・・・0dB
     ◇分離出力振幅・・・・・・・・・・・・・・・2VP-P(600Ω負荷時) 3VP-P(無負荷時)
     ◇分離利得・・・・・・・・・・・・・・・・・0dB
     ◇分離キャリア減衰量・・・・・・・・・・・・20dB以上
     ◇基板寸法・・・・・・・・・・・・・・・・・90mm×60mm
     ◇動作温度範囲・・・・・・・・・・・・・・・0℃~70℃


■付属品  使用説明書 × 1、 スペーサー × 4、 コネクタハウジング × 2、 コネクタコンタクト × 2

図1 基板外観
■コネクタについて  ◆CN2 電源入力・シリアルインターフェース 7ピンコネクタ

№.
信 号 名
用      途
電源入力 電源(+5V~+24V)を入力します。
インターフェース電源出力 インターフェースロジックに供給する電源(+5V)を出力します。
RD(変調データ入力) 変調するデータを入力します。 インターフェースロジックに
接続します。
TD(復調データ出力) 復調したデータを出力します。
/SD(送信制御入力) 送信(変調)中、Lレベル(GND)にします。
/CD(変調信号検出出力) 受信(復調)中、Lレベル(GND)になります。
GND 電源・信号コモン(0V)を接続します。

 ◆CN1 変調・復調信号入出力 9ピンコネクタ


№.
信 号 名
用      途
復調信号入力 送信側の変調信号出力に接続します。
信号コモン(0V)
多重信号出力(変調信号分離出力) 変調信号を分離した信号を出力します。
信号コモン(0V)
変調信号出力(多重信号出力) 受信側の復調信号入力に接続します。
信号コモン(0V)
多重信号入力(変調信号多重入力) 変調信号に多重する信号を入力します。
信号コモン(0V)
送信中出力 オープンコレクタ出力で、変調信号出力中ON(GNDレベル)となります。
送受信を切り換えて使用する場合に、リレー等に接続します。

■LED(発光ダイオード)について 

 ◆LED1 送信中(変調信号出力中)のみ点灯します。 
     SD信号をアクティブ(CN2の№5をLレベル)にすると点灯し、送信中出力がアクティブ
     (CN1の№9がGNDレベル)になり、変調信号(キャリア)が出力されていることを知らせます。
 ◆LED2 受信中(復調信号入力中)のみ点灯します。 
       受信中は安定して点灯するように、信号(キャリア)レベルを調整する必要があります。
       信号レベルが大きすぎると、多重信号を分離できず、多重信号に呼応して点滅する恐れがあります。
       信号レベルが小さすぎると、ノイズの影響を受けやすくなり、点滅する恐れがあります。
■調整ボリュームについて 

 ◆VR1 多重信号出力(CN1の№3)の高域変調信号分離バランス調整用です。
 ◆VR2 多重信号出力(CN1の№3)の高域変調信号分離周波数調整用です。
 ◆VR5 多重信号出力(CN1の№3)の低域変調信号分離バランス調整用です。
 ◆VR4 多重信号出力(CN1の№3)の低域変調信号分離周波数調整用です。

 VR1とVR5は、多重信号出力における変調信号漏れを、最少に調整します。
 VR2とVR4は、それぞれ、高域と低域において、中心周波数に調整します。
 出荷時に常温にて調整してありますので、厳しい環境で使用するとき以外は、調整しないで下さい。


■ジャンパについて 

 ◆J1 復調フィルタ選択度設定用 3ピンジャンパ



ジャンパ
用        途
1-2間 復調選択度を上げるとき、ジャンパピンを差し込みます。(復調感度・分離キャリア減衰量が悪化します)
2-3間 復調感度を最良にするとき、ジャンパピンを差し込みます。通常はこちらを選択してください。

  注)出荷時は、2-3間の設定で調整しています。1-2間を設定しますと、各調整ボリュームを再調整する必要があります。
    また、外部に復調信号の増幅器等が必要な場合もありますので、なるべく、出荷時の設定でご使用ください。


■本ユニットの内部回路構成について 



図2 内部ブロック
■SD(送信切り換え)/CD(キャリア検出)制御について 

 ・本ユニットは、SD信号がアクティブになっている時のみ、変調キャリアを送出し、データの送信が可能となります。
  送信する場合、SD信号をアクティブにし、受信側のキャリア検出応答待ち時間後、データを送信します。
  キャリア検出応答待ち時間は、有線の場合は0.1秒前後、無線を使用する場合は、無線機の応答時間がありますので、
  通常0.1秒~0.5秒程度必要です。
 ・送信ラインと受信ラインを共用(送受信を切り換えて使用)する場合、CD信号がアクティブの間の送信は、不可です。
  同時に送信した場合、データが衝突し、どちらのデータも失われてしまいます。
  連続してデータが衝突するのを防ぐため、SD信号をアクティブにする前に、
  ランダムに選んだ時間で、CD信号を監視する必要があります。
 ・送信ラインと受信ラインが個別にある場合、全2重(フルデュープレックス)通信が可能となります。
  この場合は、SD信号を常にアクティブにすることができます。



■送信ラインと受信ラインを共用(送受信を切り換えて使用)について

 ・無線で使用される場合は、復調信号入力(CN1の№1)を無線機の受信信号出力(外部スピーカ端子)に、
  変調信号出力(CN1の№5)を無線機の送信信号入力(マイク入力)に、
  送信中出力(CN1の№9)を無線機の送受信切り換え(PTT)に接続します。
  ただし、無線機のマイク入力に接続する場合、そのままでは信号が歪むため、
  下図に示すように、間にアッテネータを入れて、信号レベルを100~200分の1に減衰させる必要があります。


図3 アッテネータ接続
 ・有線で使用される場合は、下図に示すように、リレーを使用して、送信と受信を切り換えます。




図4 送受信共用ライン接続
■送信ラインと受信ラインが個別の場合について

図5 送受信個別ライン接続
■多重信号入出力(CN1の№3と№7)について  本ユニット単体で、データの送受信をする場合は、配線の必要はありません。  データの送受信と同時に、音声での交信をする場合に、音声の入力を多重入力に、音声の出力を多重出力に接続します。  多重出力には、若干のキャリア漏れがありますので、データを送信するときのみ、SD信号をアクティブにするようにし、  8次以上のローパスフィルタを併用することを推奨します。